FIT制度に変わるFIP制度
2012年にFIT制度が導入されて以降、再生可能エネルギーは急速に普及し、約10年後の2021年には国内の全発電量の中で約20%を占めるまで拡大しました。しかしながら、FIT制度が浸透した今日、新たな課題も可視化されるようになりました。
ひとつは前述した賦課金についてです。電力会社が発電事業者から電気を買い取る金額の一部は、私たち国民が支払う電気料金に上乗せされています。この金額は再生可能エネルギーの普及と共に年々増え続け、2021年度には総額2.7兆円にも及んでいます。こうした私たち国民への負担は、可能ならば軽減されることが望ましいです。
また、時期によって需要と供給のバランスや価格が変動する電気ですが、FIT制度においては売電価格が常に一定となります。つまり、電力市場の状況がこの場には反映されず、発電事業者様はこれまで電気のニーズや市場競争について特に意識する必要性はありませんでした。しかし、再生可能エネルギーを今後さらに普及させていくためには、電力市場への積極的な参入と電力事業を運営することに対する永続的なインセンティブを確保する必要があります。
こうした課題に取り組むべく、2022年度より試験的に導入されることとなったのがFIP(Feed-in Premium)制度です。その名の通り、売電価格に対して一定のプレミアム(補助額)が上乗せされ、事業者様の発電における収入は市場価格に連動する形となります。プレミアム単価は予め一定の価格にて設定されており、季節や時間帯によって異なります。例えば、発電事業者様は需要がピークを迎える時(市場価格が最も高い時)に供給量を増やすよう工夫することで、より多くの収入を見込むことができます。再生可能エネルギーの導入が進む欧州では既に取り入れられている制度で、今後、日本でもエネルギー種別にそれぞれ異なる条件にて、段階的に移行されていくことが予測されます。
これら制度について更に詳しくご覧になられる方は、以下の経済産業省 資源エネルギー庁のページをご覧ください。
【固定価格買取制度とは】https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/kaitori/surcharge.html open_in_new【FIP制度について】https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/kaitori/dl/fip_2020/fip_document02.pdf open_in_new